直線上に配置


エピソード\:甘〜い香りで始まった≪ケンタ出産編≫

3月10日。その日は出産予定日だった。

二人目の出産は、一人目よりも早いと聞いていたので「10日よりは前に
産まれるんだろうな」
としか思っていなかった。

まだ予定日まで一週間ある。でも、お腹ははちきれんばかりの大きさで
相撲で言えば”待ったなし!”の状況だった。

         :
         :
         :

夜中の3時半に叩き起こされた。
「来たッ!準備してッ!」

殺し屋でも来たのかと思い、とっさに銃を手にする。。。

そんなわけはなく、予想通り陣痛である。

ハルカの時よりは、まともな陣痛みたいだ。やっぱり予定より早いのね。
4時にはハルカも叩き起こす。
ガバッと起き上がり、次の瞬間にはワクワクモードに突入のハルカ。。。

なんでそんなに元気なの?普段は全然起きないクセに。。。
泊まりに来ていた御婆ちゃんと4人で早速行動開始。
用意していた荷物を手に家を出た。

前回のハルカの時の反省をいかして、家から近くてもタクシーを呼ぶことに
する。そして程無く乗り込む我ら。
無事に病院に到着。今回は陣痛もゆっくりで、部屋で横になりながら
促進されるのを待った。

前回同様に畳の上に布団を敷いてもらっての出産を希望。
準備万端である。

ハルカも眠気を感じさせない表情で、初めての経験を楽しんでいるようでも
あった。あらかじめハルカに出産に立合うか確認して、立合うことになっていた
ので皆で畳の上で待機。

そのうちハルカは「なんか食べたくなっちゃった。。。」と早朝の空腹感
我慢できなくなった様子で訴えてきた。

御婆ちゃんだけは分娩室に入れないので、通路の椅子に待機。
「御婆ちゃんと、何か買っておいで。」ハルカは御婆ちゃんに連れられて、病院の
売店へと消えていった。

しばらく帰ってこなかったが、どうやら朝食を買ってきたあと通路の椅子で食べて
いたらしい。
満足顔でハルカが我々の待機している分娩室に戻ってきた。

「なんか買ってもらって食べた?」とパパ。
「うん。食べたよ。。。」

その時に気が付いた。

口のまわりにかすかに付いている黒い物体。。。チョコレートらしき跡・・・。
「なにを食べたの?」
「パンだよ」

これはなに?なんかお口に付いてるよ?これ・・・チョコじゃない?

「・・・・・チョコのパンだよ・・・・・・・・・・・」

え〜?チョコパン〜?それは朝食で食べていいパンかなぁ?」と、
意地悪く聞くパパ。

・・・大丈夫だよぉ〜。だってパンだもん・・・」と苦しい弁解をするハルカ。

ふ〜ん・・・。まぁ、早起きして頑張っているから許してやるか。

パパもお腹空いてきた。まだ産まれそうにないママを残して、パパも御婆ちゃん
の元へ。イスの上のハルカと御婆ちゃんが買いに行った時のビニール袋を
発見。「おにぎりかサンドイッチでもあるかなぁ〜」と袋を覗き込んだら
思わぬものが!

三角形のミニチョコケーキの菓子箱を発見!

ッテメェ〜ッ!なんだこれはッ!!(ー_ーメ)

「ハルカ、これはなぁに?ひょっとして、これがチョコパン?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」


完全にお菓子だろ〜がッ!!


なんでこんなもん食わせるんだよ!」実母の御婆ちゃんを責める。
だって、サンドイッチも買ったんだけど、どうしてもこれ食べたいって言うんだもの・・・

「言うんだもの」じゃぁぁあねぇ!呆れるパパ。。。

・・・・ママには内緒にしてて・・・・・お願いモードに突入したハルカ。
「嘘ついてもすぐバレるようになってるのっ!」説教するパパ。
逆に、ハルカに内緒でママにチクるパパであった。

そうこうしているうちに、いよいよ産気づいてきたママ。
今回はハルカの時に叶わなかったへその緒のカットを、ハルカと一緒に
やろうという試みである。

ちゃんと事前に病院にお願いしてあったのだ。

ハルカと励まし続け、いよいよ破水。順調に赤ん坊が出てきた。
さぁ!前回のリベンジ!ハルカっ!出番だぞっ!!
ハサミを持てぃ!!

腰を上げかけた瞬間、非情な言葉がこだました。

「はいっ!出てきましたぁ〜♪ちょっとヘソの緒が首に絡まっているので、
こちらで切っちゃいますねぇ〜♪

「切っちゃいますね???」

またもやヘソの緒が絡まってますけどっ!!(TT)

バチンっ!」無情にも試合終了のホイッスルが助産婦さんのハサミで
告げられた。

ピピィィイ〜ッ!!終ぅぅうう〜了ぉぉおお〜♪ (T0T)

またしても夢で終わったヘソの緒カット。。。自分が一番残念なくせに、
「ハルちゃん、残念だったね。しょうがないね。」と自分に言い聞かせるように
うなずくパパであった。

予定日より早く産まれた赤ん坊。無事に元気のようだ。
気が付けば今日は3月3日のひな祭り

とても覚えやすい日に、はかったかのように産まれました。

元気な男の子が。。。ギャグか。。。

すかさず脳裏をよぎる。
あ〜いじめられるぅ〜。ど〜しよぉ〜。

パパはひらめいた!「俺は女の子の祭りの日でも、ケーキ食べれるんだぜ!
女の子はもらえないけど俺はプレゼントもらえるんだぜ!超ラッキーッ!」って
開き直れと。。。

「一日ずれてたら、雛祭りとまとめられちゃうし、親に二回も連続で
ケーキ買わせる羽目になるから親孝行の意味でも結果オーライなんだぜ!」
と、ひたすら開き直れと。。。


すでに言い訳け人生。。。


無事に出産が終わり、しばしの入院生活に突入。
ハルカの時は保育器に入ったので一週間ほどでしたが、今回は5日で終わり。
最近は退院も早い。

そして入院中に貴重な体験をした。

翌日、お見舞いに行ったら、ママが「ケンタの匂い嗅いでごらん!
甘いんだよ。


は?甘い?人間が甘い?そんなバカな。。。
出てきたばかりでなんでそんな匂いが。。。じゃあ羊水は砂糖水かっつうの!
冗談もほどほどに。。。



甘〜ッ!!( ゜Д゜)


驚きである!めっちゃ甘い匂いがするッ!
産まれたての赤ちゃんは甘〜い匂いがするのだ。本当に甘い匂いなのだ!
ズバリ”綿菓子”の甘い匂いだ!
たぶん目をつむって両方嗅いだらわからない。

ハルカの時は、出産後は羊水の中でウンチをし、ウンチまみれで&すぐに
保育器に入ったので、産まれたての匂いを嗅ぐチャンスがなかったのだが、
今回は最初からずっと一緒なので思わぬ発見となったのだ。
後から聞いたところによると、助産婦さん曰くこれは羊水の匂いらしい。

沐浴するまでの数日は、頭から甘い匂いを楽しませてくれた。^^

そして、驚きの体験がもう一つ。
実は、赤ちゃんは産まれたばかりの頃はママの女性ホルモンが
少し強く残っていて、オッパイがでることがあるらしい。

数日後、男のクセに少し突起しているオッパイが心配で病院で聞いてみると、
そう説明されながらつまんで出してくれた。。。ぴゅ−ッと!

乳をぴゅーっと出してオカマちゃんかとヒヤヒヤさせたケンタはこれからどんな
大物になってくれるのだろうか。
びっくり人間としてビッグになってもらっても困るのだが。。。

                    :
                    :
                    :

退院してめでたく我が家の一員になったある日、ハルカが言った。

「ケンタの頭、くさいよ!」

あんなに甘い匂いだったケンタは、すでに赤ちゃん特有の脂性になっていた。
いつの間にか、この歳でオヤジ臭。。。

頑張れケンタ!行け行けケンタ!君の冒険は始まったばかりだ!
人生臆せず突き進め!


大胆ケンタの探検隊だ!・・・・・←(逆から読んでも同じだったりして・・・)


伝説はとうぶん続く・・・(完)

他の実録を検索

今どきのハルキチへもどる

トップページへもどる

直線上に配置